51 伊とうはるこ(1944~ )「創造へのエネルギー」
伊とうはるこ(千葉県柏市)
51 伊とうはるこ(1944~ )「創造へのエネルギー」 油彩 ボード 14.0×18.0cm 2008年制作
あるロックグループの集合写真の最後列で、ひとりだけ、あらぬ方向を見つめるヴェートーベン風の彼が気になって、描いたものである。
52 高橋正子(1958~ ) 「期待-9-」
山根康壮(千葉県柏市)
52 高橋正子(1958~ ) 「期待-9-」 油彩 キャンバス F4 2006年制作
生存競争のさなかにあってバリバリやっているつもりの時は、絵など眼中にない。
疲れきって心が折れて弱ってくると高橋さんの絵が恋しくなる。
そして死んだ妹のこと、弟、父親。いまほとんど意識がない母親、闘病中の友達のことなど想いだしたりする。
53 高橋正子(1958~ ) 「海の見える場所」
山根康壮(千葉県柏市)
53 高橋正子(1958~ ) 「海の見える場所」 油彩 キャンバス F6 2007年制作
2歳のとき、妹は逝った、僕は五つだった。
焼場の建物の裏に小さな窓があった、親父が肩車をしてくれた、あわいオレンジ色が見えた。
54 杉山惠子(1945~ )「手賀沼の秋」
杉山惠子(千葉県柏市)
54 杉山惠子(1945~ )「手賀沼の秋」 油彩 キャンバス 37.9×45.5cm 2007年制作
我孫子駅を降り、手賀沼に行く。
広場で見晴せる場所を探して描いてみました。
薄曇りの空は、時折り日が射すが、青空にならず、すこし寒い。
元気に遊ぶ、小学生が一言声をかけてくれる。楽しい感想だ。
不思議と小学生には、のぞいては、何か言ってもらうことが、他の所でもあって、ちょっと言ってくれる言葉が嬉しい。
5 5 枡本吉隆(1979~ ) 「うさぎ」
福田豊万(千葉県市川市)
55 枡本吉隆(1979~ ) 「うさぎ」 パステル 紙 29.7×21.2cm 2010年制作
天上の芸術(L`ART DU CIEL)
私は、この枡本吉隆さんのうさぎの絵を初めて見た時から、このうさぎとは以前どこかで会った事があるという思いをずっと抱いていました。それが、つい最近どこで出会ったのかが突然理解出来たのです。
それは、あのテニエルが描くふしぎの国のアリスをまさに不思議の国へ誘ったあのうさぎであると。
なぜ今、あのうさぎがこの様なひげ面で目を赤くして、茫然と佇んでいるのか?それは、おそらくアリスが不思議の国から現実の世界へ帰った後、もう一度アリスに会いたくて、地上にやって来たものの時代も、国も違うこの日本に現れ、アリスを見つけ出す事も出来ず、地上のうさぎに変装してもひげ面のなんともとぼけた姿にしかなれず途方にくれている姿なのです。
障害を持つ人達が通う施設で働きながら絵を描いている枡本さんが、ルイス・キャロルの“不思議の国のアリス”を読んだ事があるかどうかは分からないのですが、私にはこの絵はあの白うさぎが地上のうさぎに変装した姿だと理解するのがとてもしっくりとくるのです。
今、アールブリュットであるとかアウトサイダーアートとかいわれるものに熱い視線が注がれていますが、私もこれらの人達の作品に魅力を感じその展示の企画に参加する事もあるのですが、その絵の魅力の源泉がどこにあるのか?というのが今の私にとって最大の関心事なのです。そしてその魅力は、天から与えられたものであるとの思いは間違いではないという確信は抱いています。私は彼等の不思議と魅力に満ちた芸術を“天上の芸術”と呼びたいと思います。
穴を出てアリスは何処ひげうさぎ
まんぷく
56 川崎光草子(1944~ ) 「眠りの中で」
川崎光草子(東京都杉並区)
56 川崎光草子(1944~ ) 「眠りの中で」 油彩 キャンバス F6 2011年制作
この絵は実は下に別の風景の絵が描いてあります。でも何かもの足りず、気に入らない処もあって、修正していくうちに、どっと違う絵になってしまいました。
遠くに小さい家を描き入れた時、気持ちが落ち着き、出来上がった気分になって少しほっと致しました。
57 川崎光草子(1944~ ) 「母と子」
川崎光草子(東京都杉並区)
57 川崎光草子(1944~ ) 「母と子」 油彩 キャンバス M8 2011年制作
日常生活の中で、足の力が弱くなってきた母を、ぎゅっと力一杯支えなければならない場面がとても増えてきました。母も必死にしがみついて来ます。その時いつも、言葉にならない暖かい気持ちに襲われます。
描いているうちに、自分が母なのか、子供の方なのか、わからなくなってきました。
58 山根康壮(1942~ ) 「帰宅(新木場)」
山根康壮(千葉県柏市)
58 山根康壮(1942~ ) 「帰宅(新木場)」 油彩 キャンバス F8 2011年制作
日常の生活の事物から選択してそれをあるがままに。
仕事のかえり夕暮れの輝き
59 山根康壮(1942~ ) 「帰宅(柏市八つ原)」
山根康壮(千葉県柏市)
59 山根康壮(1942~ ) 「帰宅(柏市八つ原)」 油彩 キャンバス F8 2012年制作
底のあるひろがりを描きたい、内側から見た固まりでもある。休場のドームは外から見れば固まりであるが内側にいればひろがりであるように。
あるける空間、触れる実体。空間と実体のバランス。
60 藤井 蓮(1979~ ) 「日本水仙」
荒井よし枝(東京都中央区)
60 藤井 蓮(1979~ ) 「日本水仙」 貼り絵 紙、箔 30.0×30.0cm 2012年制作
藤井蓮は、父である個性的な日本画家、藤井勘圿の作品を見て育ち、幼いころから絵を描くことが好きだった。
モチーフは身近かな花、野菜、金魚や、カエルなどで、貼り絵、ちぎり絵の手法で独自の表現をしている。
色がきれいで、形がユニーク。気取ったところがなく見て楽しい作品だが、その中に鋭い観察力と感性がみえる。