わたくし美術館って?


美術館とは

 美術館(びじゅつかん)とは、美術作品を中心とした文化遺産や現代の文化的所産を収集・保存・展示し、またそれらの文化に関する教育・普及・研究を行なう施設です。
 美術館は、相当する英語が art museum があるように美術品を主たる対象とする専門博物館の一分野であり、それ以外の欧州各国語でも博物館の概念に包含されるものです。 美術館は、博物館の一形態という性質上、収蔵品の蓄積が展示と並んで重視されます。
 展示の方を中心とする施設は「ギャラリー」と呼ばれますが、美術館とギャラリーの境界はあいまいで、中間的な施設も多く存在します(類義語として絵画館)。
(*「国立新美術館」は作品を収集・保存せず、展示を実施する美術館ですから機能的にギャラリーです。国立新美術館の英名は museumではなくart center です)
 一般的にいう美術館とは、「全国美術館会議」のメンバーをいうと考えてよいでしょう。「全国美術館会議」(1952 (昭和27)年設立)とは博物館法をクリアーした全国の国・公立美術館に加え大手私立美術館の組織です。


私設美術館

 さて、「全国美術館会議」に所属しない私設美術館は全国におおよそ240館ほど存在し、私設美術館は、「わたくし美術館」と「個人美術館」の2種類に分けることができます。
1 わたくし美術館…コレクターによる美術館。
2 個人美術館  …主にその土地に所縁の美術家を顕彰する目的で設立された美術館。

 私設美術館は、「美術館の役割である1収集、2保存、3展示し、またそれらの文化に関する4教育、5美術普及、6美術研究を行なう施設である」の内、美術館の基本的3要件と美術普及等の+アルファーを有している場合が多いようです。

 「全国美術館会議」の美術館とわたくし美術館との違いは博物館法(例 耐火構造、学芸員の存在、美術梱包、保険の付与等)をクリアーしているか否かにあります。

 現在全国には、コレクターによるわたくし美術館が120館前後、特定作家の個人美術館が半数の120館前後存在すると推定されます。美術館数は常に変動しています。
(*個人美術館とは、主にその土地に所縁の美術家を顕彰する目的で設立された美術館をいいます)


わたくし美術館

 日本のわたくし美術館の源流を見てみましょう。戦後間もないころ故久保貞次郎は人口10万人に1つ美術館をつくろうと唱え。その意思を継いだ故尾崎正教は、一つの街に一つの美術館をという「わたくし美術館」運動を提唱して展開しました。

 戦後の復興、経済発展に伴い全国にわたくし美術館が作られていきました。

 美術館を名乗り、運営するのに法的規制はありません。「わたくし美術館」も、その収蔵作品、公開のスタイル、展示規模、展示方法、施設等は、全く自由で実に様々で、それぞれの主催者の美意識、考え方が個性豊かに表れています。

 さて、わたくし美術館のメリットおよび効果を考えてみましょう。
1) 自己満足、自己実現が出来ます。
2) コレクション行為そのものに関係する者をハッピーにします。(コレクター自身は作品を得た事の喜び、
   作家は買ってもらえた喜び、流通業者は売れた喜び、評論家は作家を紹介した喜びなど)
3) コレクションを一般公開して一般市民に喜んでもらえます。
4) 公開して誉められ自慢もできます。(反対の場合もありますが)
5) 美術館長としてのステータスの高さを享受出来ます。
6) 美術普及活動に貢献します。
7) 来館者との楽しい語らいが出来ます。
8) 但し、黒字化は至難と考えるべきです。


わたくし美術館の置かれた立場と対策

 「わたくし美術館」が次々と誕生してゆく一方で、「わたくし美術館」のライフサイクルは短いというのも事実です。長期の運営は難しいようです。多くは3年目、10年目が継続の節目になっています。
 それでも、多くのコレクターや「わたくし美術館」にとって、限られた時間と空間の中で「わたくし美術館」において「作品」を展示、公開する事は、とても魅力に満ちた出来事です。又これに関わる多くの方たちとの交流も、確かな財産となります。

 皆さんご存知でしょうか? 公立美術館どうしはほぼ無料で作品を貸し借りしています。一方、わたくし美術館が公立美術館から作品を借りることは出来ません。何故でしょうか?

「全国美術館会議」の所属する国公立美術館、大手私立美術館は博物館法の基準をクリアーしています。

この博物館法に定められた基準をクリアーしているわたくし美術館は少ないのです。例えば耐火構造、学芸員の配置、美術梱包、保険付与等の条件を備えていないわたくし美術館が殆どです。

わたくし美術館が公立美術館に作品を借りようとしても博物館法が前に立はだかり、作品を借りることが出来ないのです。


加えて、日本の大手美術館は殆どが企画展主導の運営です。常設展のみでは来館者・レピーターは望めません。企画展は不可欠なのです。美術館の魅力を維持するには、新収蔵品の充実も重要なのです。


そこで「わの会」では、わたくし美術館はわたくし美術館どうしで作品の貸し借りをほぼ無料で実施する。それに加えてコレクターの作品をほぼ無料で借りることが出来るシステム作りをしてきました。

貸し借りでフレッシュな作品を市民に見せることが出来れば美術普及も推進されてゆきます。又わたくし美術館の延命にも繋がります。


「わの会」のわたくし美術館の範囲

日本一小さな美術館、世界一小さな美術館も無数に存在致します。これらの美術館も勿論、「わの会」では「わたくし美術館」の範囲と考えております。

 「わたくし美術館」の範囲 ; これまでに紹介した「わたくし美術館」の主催者が会員ですが、次のようなコレクターも「わたくし美術館」の範疇と考えています。
a)著書上でコレクションを公開されている方
b)コレクションを開き画集を作られ画集上で公開されている方
c)HPでコレクションを公開されている方
d)コレクション展を幾度となく実施公開されている方
e)公開はしていませんが住居の中に美術館の如く展示されている方
f)学校や福祉施設に作品を貸し出している方 ご自身の医院に作品を展示されている方

これらの会員も
 1 収集、2 保存、3 展示(著書上で公開)、4 美術普及、5 美術教育に貢献、6 美術研究 を行っており、美術館を名乗っていないがわたくし美術館と同等の活動を行っています。